生物ろ過の仕組みとは?初心者さんが必ず覚えておきたいポイントは6つ

エンゼルフィッシュが泳ぐ水槽

こんにちは、いのりです。

アクアリウムを始めてみると、いろいろなところで「物理ろ過」とか「生物ろ過」なんて単語を目にするんじゃないかなと思います。

正直、アクアリウムを始めたばかりの方は「生物ろ過?なんのこっちゃ?」となるのではないでしょうか。

そこで今回は、「なんのこっちゃ?」な初心者さんに向けて、生物ろ過について解説していきます。

実はアクアリウムを維持していくうえで一番大切になるろ過方式ですので、しっかり活用できるようになりたいですね。

そもそも「ろ過」って?

水槽の水は、魚の糞や餌の食べ残しなどで汚れていきます。その汚れを取り除いたり分解したりして、水を綺麗に保とうとすることをアクアリウムでは「ろ過」と呼んでいます。

アクアリウムにおける「ろ過」には大きく分けて「物理ろ過」「生物ろ過」「化学ろ過」の3種類があります。

この記事では、「生物ろ過」について解説していきます。

「物理ろ過」や「化学ろ過」についてはこちらの記事で解説していますので、気になる方はあわせて読んでみてください。

生物ろ過とは?

水槽に発生する有害な物質を、微生物の働きを利用して分解することを生物ろ過と呼びます。

一般的に、アクアリウムにおけるろ過システムでは一番重要といわれ、生物ろ過をどれだけ活用できるかで水槽のろ過能力は大きく左右されます。

すこし極端な話ではありますが、生物ろ過がまったく働いていない水槽では、熱帯魚たちは生きていくことができません。

バクテリアの働きによって有害物質を分解する

生物ろ過で活躍する微生物は、ろ過バクテリアと呼ばれます。

そのろ過バクテリアの力を借りて、熱帯魚などの生物にとって毒性の強い物質を分解し、毒性の少ないものにしていきます。

有害な「アンモニア」を分解して「亜硝酸」に

餌の食べ残しや、魚の排泄物などから発生するアンモニアは、生体にとっては凄く毒性の強いものです。

ろ過バクテリアは、そんな毒性の強いアンモニアを分解して、亜硝酸という物質に変換してくれます。

ただ、アンモニアと比べるとマシですが、亜硝酸もまだそこそこの毒性があります。

ですが、安心してください。ろ過バクテリアには、アンモニアを分解するものだけでなく、亜硝酸を分解するものもいるんです。

「亜硝酸」をさらに分解して「硝酸塩」に

アンモニアを分解するバクテリアとは別の種類のバクテリアが、亜硝酸を分解して硝酸塩という物質に変換してくれます。

亜硝酸にはまだ毒性がありました。しかし硝酸塩は毒性が低く、熱帯魚たちに影響が少ない物質です。

このアンモニアから亜硝酸を経て硝酸塩まで変化していく過程が生物ろ過の基本的な考え方です。

さらに硝酸塩を分解する脱窒なんてシステムもあります。初心者さんにはちょっと難しいため、今回は詳しく解説はしません。(失敗すると、アンモニアよりスゴい物質が出てきちゃいます)

それだと硝酸塩って溜まっていくんじゃ?

そうなんです。

基本的には、ろ過バクテリアによって硝酸塩まで変換されたあと、硝酸塩は水槽の中に溜まっていきます。

アンモニアと比べると毒性はかなり低いとはいえ、溜まってくると熱帯魚たちにも影響を及ぼしてしまいます。

そのため、溜まった硝酸塩を水槽から出してあげる必要がありますよね。それが水換えです。

水換えはゴミを取ったり、コケの掃除という意味もありますが、硝酸塩を取り除くという効果もあるんですよ。

ろ過バクテリアはゆっくり増えていく

ろ過バクテリアは水槽を立ち上げた直後は水槽内にほとんどいません。そのため、水槽の立ち上げ直後の時期は生物ろ過が働いていません。

ろ過バクテリアはアンモニアや亜硝酸を餌にして増えていきます。

アンモニアを分解してくれるバクテリアは増えるのが早く、亜硝酸を分解してくれるバクテリアは、ゆっくり増えていきます。

生物ろ過の目的はアンモニアを硝酸塩まで変換することです。

亜硝酸を硝酸塩に分解してくれるバクテリアは、ゆっくり増えていくタイプですので、生物ろ過の能力はゆっくり上がっていくということになりますよね。

よく「水槽を立ち上げてすぐに生き物を入れてはいけませんよ」と言われるのは、生物ろ過が働いていないからなんですね。

酸素が好きな好気性バクテリア

水槽

生物ろ過で活躍するろ過バクテリアたちは、酸素が無いと生きられません。かれらは「好気性バクテリア」と呼ばれています。(逆に、酸素が無いところが好きな嫌気性バクテリアと呼ばれるものもいます)

酸素が大好きなので、エアレーション(ぶくぶくなど)をしてあげると元気に活動してくれます。

また、通水性が良いと新鮮な酸素が十分に届くので、これまた元気になってくれます。

新鮮な水が届かず、酸素が無くなってしまった場所には、生物ろ過をしてくれる好気性バクテリアたちは住むことができません。

ろ過バクテリアの能力をしっかりと発揮させるには、酸素量と新鮮な水の流れはカギになってきますので、初心者さんは覚えておくと良いかなと思います。

生物ろ過で使用される「ろ材」

生物ろ過で使われる「ろ材」の役割は、ろ過バクテリアの住処となることです。そのため、表面積が広く、バクテリアがたくさん住めるろ材が使われます。

代表的なものをいくつかご紹介します。

リングろ材

定番のろ材ですね。そこそこ表面積があり、通水性も悪くなく、耐久性もそれなりと全てにおいてバランスの良いろ材だと思います。

私はリングろ材を使うことが多いですね。

ボールろ材

軽石のようなイメージのろ材です。多孔質で、表面積の広さが一番の特徴です。

ゴミなどが詰まってしまい、通水性が悪くなってしまう心配がありますので、初めに物理ろ過で大きなゴミを処理しておくと良いと思います。

スポンジ

物理ろ過としての役割が大きいスポンジですが表面積の広さを考えると、スポンジもろ過バクテリアの住処として優秀ですよ。

 

ろ材のメンテナンスで注意すること

バクテリアがしっかりと繁殖したろ材は、その水槽のろ過システムを支える柱になります。

しかし、汚れが溜まってきて通水性が損なわれてくると、そのろ過能力を100%発揮することが出来なくなってしまいます。

完全にろ材を取り換えるとなると、せっかく繁殖したバクテリアを捨ててしまうことになるので、汚れが溜まってきた段階で掃除をしてあげて、ろ材とバクテリアを再利用した方が良いと思います。

ろ材の洗い方

ろ過バクテリアは生き物です。ろ材を掃除するときに水道水を使って洗うと、水道水に含まれるカルキでバクテリアが死んでしまいます。

生物ろ過を期待する「ろ材」は、バケツなどにとった飼育水や、カルキを抜いて温度をある程度合わせた水を使って、簡単にゆすぐように洗ってあげてください。

ゴミを軽く落として、ろ過バクテリアはくっつけた状態でフィルターに戻してあげるイメージです。

そうすることで、バクテリアの減少を最小限にとどめつつ、ゴミなどを掃除することができます。

せっかく繁殖してろ過を頑張ってくれているのですから、バクテリアがなるべく減らないようにお手入れしたいものですね。

まとめ:とりあえず覚えておいてほしいポイントは5つ

ろ過システム最大のポイント、生物ろ過について解説しました。

バクテリアや硝酸塩など、初心者さんにはあまり馴染みのない言葉が多く出てきてちょっと難しかったかもしれません。

初心者さんに「とりあえず覚えておいてほしいポイント」をまとめると、以下の6点になります。

  • 生物ろ過はバクテリアによるろ過
  • アンモニア(めっちゃ危険)→亜硝酸(まだ危険)→硝酸塩(ほぼ安全)
  • 硝酸塩は水換えで取り除く
  • ろ過バクテリアはゆっくり増えていく
  • ろ過バクテリアは酸素大好き
  • ろ材メンテナンスの時は水道水は使わない

生物ろ過はホントに難しくて、理論もたくさんあります。人によって考え方が違ったりもしますし、私自身も毎日が勉強です。

アクアリウムの「ろ過」の中で最も大切な部分にもなりますので、頑張って経験を積んで、みなさんなりのスタイルを作ってみてくださいね。

以上、いのりでした。